四季を纏うアーティフィシャルフラワー 〜和の床の間に咲く造形美術〜

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四季を纏うアーティフィシャルフラワー

床の間にそっと置かれた花が、季節の息吹を語り始める瞬間をあなたは感じたことがありますか?

日本建築における「床の間」は、四季の移ろいを映す小宇宙(コスモ)とも言われます。そこに現代の造形美術としてのアーティフィシャルフラワーを調和させることで、伝統と革新の対話を形にしました。

※「小宇宙」としての意味
床の間は、掛け軸や生け花、置物などを飾ることで、その空間を特別なものにします。これは、外界の広大な自然や季節感を凝縮し、小さな空間に表現するという点で、**「宇宙の縮図」**という「小宇宙」の概念を意味しています。


春 ― 春霞 Harugasumi

柔らかな桜がふわりと霞むように広がる作品「春霞」。
薄桃色の花弁は、まるで春の大気を透かして見えるかのように軽やかで、淡い青磁の花器と調和し、空気に溶け込むような透明感を演出します。

花材は桜と自然の枝。シンプルな構成の中に「余白の美」が宿り、床の間に掛かる掛け軸と呼応して、まるで時間までゆるやかにほどけていくような空気を漂わせます。

春の淡さから夏の躍動へ

夏 ― 涼風 Suzukaze

鮮やかな朝顔が涼やかに揺れる「涼風」。
伸びやかな蔓の曲線と流木の力強さを組み合わせ、夏の生命力を感じさせながらも、ひとすじの涼しい風が吹き抜けるような清涼感を宿しています。

床の間に置かれた水色の花器が、朝顔の紫をより鮮明に引き立て、掛け軸の静かな色彩とともに「夏の涼」を際立たせています。

秋 ― 紅音 Akane

秋の夕暮れを思わせる赤と黄のコントラストが響き合う「紅音」。
紅葉を思わせる赤紫の穂と、黄金色の草花を組み合わせることで、秋の大地に響く音色を表現しました。

深い藍の器に映える鮮やかな赤は、和室の空間を一気に秋の情景へと染め上げ、掛け軸に描かれた紅の彩りと共鳴して「秋の余韻」を紡ぎ出します。

秋の深まりを経て冬へと――

冬 ― 白妙 Shirotae

冬の静寂を映す「白妙」。
白い芍薬の気高い花姿と、冬の寒気を思わせるトクサの直線が、張り詰めた冬の空気を表現します。

赤い実(南天など)や枯れ色の葉を差し込み、冬の景色にほんのり温かさを残す。
冬の侘び寂びを強調し、落ち着いた床の間の空間に凛とした存在感を放ちます。
「白妙」という古語が表すのは、雪や衣の純白――冬の清らかさそのものです。

新春 ― お正月 Happy New Year

そして、一年の始まりを寿ぐ「お正月」。
紅白の花、鏡餅と羽子板の意匠を添えて、めでたさと希望を象徴するお飾りとして生まれました。

四季を巡り、また新たな春を迎える循環の象徴として、この作品は特別な意味を持ちます。

和の美意識と生け花を超える造形美術

アーティフィシャルフラワーは「花を模す」だけではありません。
花材の組み合わせ、空間との調和、余白の取り方、掛け軸や床の間との呼吸――そのすべてが計算された造形美術です。

生け花の流派に縛られることなく、四季を超える物語を空間に描き出す。
それが Aquarium TOJO Muse の Artificial Flower Artist 東城幸恵の挑戦であり、誇りです。

結びに

春霞、涼風、紅音、白妙――。
四季を巡るアーティフィシャルフラワーの物語は、和風ホテルの空間に「時」を届けるアートとなります。

生花はやがて枯れてしまいます。しかし、アーティフィシャルフラワーは、時を超えてその美を留め続けます。
伝統的な生け花の「一瞬の美」を尊びつつ、造形美術は「永遠に咲き続ける美」を空間に刻むのです。

その可能性を、これからも作品を通じて紡いでまいります。
四季を纏うアーティフィシャルフラワーは、ただ飾るだけではなく、空間そのものを語り手に変えてくれます。
その物語を、あなたの場所にも迎え入れてみませんか?

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